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紹介 |
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憂、イラストレーター、芸術家。彼は多作し、大勢活動を参加し、多く大賞を勝ち取りました。憂様のスタイルは流行のものと違って、伝統芸術に似ています。これだけではなく、現代の美感に結びつけるべき、素晴らしい美しさを持ちます。憂様の人物はまじめな物腰、および落ち着いた表情を持って、凛々しくて、とでも莊嚴です。絵の背景は優雅な雰囲気を身につけて、すぐれた線条美を連れて、どこに見ても小規模な世界があります。読者に魅了させて、どう眺めても退屈に感じさせません。
一般人とは違って、「 共感覚」と言う異能を所持します。これのお陰で、作品に素敵な色を表現させて、あざやかな芸術感になりました。
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インタビュー |
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2011/4/17 |
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イントロ |
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自己紹介してませんか。
憂と申します。 多摩美術大学という処でグラフィックデザインを学んでいました。中学・高校の美術と工芸の教員免許を持っています。今はデザインとイラストを生業にし、色彩を操る技術を得意としています。また、中学生の頃からホームページを運営していました。インターネットは長く趣味にしています。
小学校の頃に友人が付けてくれたものが、そのまま継続しています。
ホームページ、名前は「アルカディアの扉」、なぜこの名前を付けてですか?
桃源郷を意味する「アルカディア」という単語に神秘性を感じたからです。ただこの単語のみでは検索で見つけづらいのでは、と危惧し、扉という単語を付けました。最初は泉にしようかと思っていたのですが、英語にした際に長くなるため止めました。
「共感覚所持」と言いましたね。
物心のつく2、3歳頃から、痛みを感じたり、音楽を聞いたり、文字を見たり、味を感じたりする際に、「現実の感覚とは別に」色を感じたり、感触を感じたりしていました。成人するまでどの人にも共通する現象だと思っていたのですが、最近そうではないと知りました。絵をかくときには、この感覚がとても役立っています。
そう言えば、HP中に代表単語「共感覚」は見えなくなりましたね。
作品「シナスタジア」で表現できたので、文字での説明は不要だと判断しました。
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技術 |
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主にPhotoshopやSAI、Illustratorを使いますね。
SAIを使用するのはそのペンの滑らかさと描画の早さ、ファイルを扱う際の軽さです。制約も多いソフトですが、とても役立っています。Photoshopは画面の構成や調整をするのにはかかせません。Illustratorは主にデザイン面で活躍します。ロゴタイプを作成したり、出力用のデータを作成する際にはなくてはならないものです。
一つ作品はどのくらいの時間が掛けるですか?
仕事で納期が迫っている時など、早さをとれば1~2日でカラーを一枚挙げられます。最速で全工程6時間くらい。じっくりと大きな作品を描く際は数週間をまたぎます。
描く技術はどこで勉強しましたか?
友達と遊ぶ中で、興味を持って黙々と描いていたことが一番大きいと思います。パソコンで絵を描くようになったのは、14歳ごろで、今では普通かもしれませんが当時では大変先進的でした。美術大学でデザインも学んだこともとてもいい経験になっています。
見た方には、とても細密であったり、豪華であったりという印象をもってくださいます。今でも迷いながら描いている所為でそれが筆に出ているかもしれません。最近は見る方をとても意識して描いているので、すこしマイルドに、優しく受け取ってもらえていたら嬉しいです。
描いていて、楽しいと思うところはどのあたりですか?
これに関しては毎回同じように答えさせていただいていますが、作品が完成する5分前と、完成した後の5分後です。この時間と、描く前に構想をして、わくわくしているときのことを、自分の中で黄金の時間とよんでいます。絵を書いているときはとても苦しいだけに、よけいにこの時間の輝きが引き立ちます。
大変なところがありますか?
下描きを描いているときは、終着点が見えない旅のような気持ちです。描きたい物は決まっているのに、その骨組みがうまくいかなかったり、ただの地味な作業の繰り返しであること、序盤であるために結果がすぐにみえてこないことなどが辛いです。
絵を描く際、特に気をつけていることを教えてください。
たくさんありますが、最初に設定したコンセプトや課題が、最後の筆を置く瞬間にきちんと達成されているかどうかが重要だと感じています。上手い下手も重要ですが、毎回自分にだけ分かるような新しい課題をそっと出すようにしています。
これから漫画も作りますか?
今のところ、一枚の絵が自分にとてもあっているので、この方法をとっています。漫画はとても素晴らしい表現方法だと思いますし、それを描くことができる作家様は素晴らしいです。自分にはまだそこまでいけないな、という畏怖の気持ちもありますが、必要とされたり、自分がその表現を必要とするシチュエーションがくればチャレンジしてみたいです。
作品はどれでもすっごく華麗な図案に結びつきます。この原因で作品に多く芸術感を着せていますね。
多分小さい頃から装飾が好きだったんだと思います。そのまま学校にあがり西洋美術史や文様史を齧って、現在はそれを基板に資料や文献を見ては手元の素材を増やしていっています。 基本は真似て描くのですが、その絵にあったアレンジを施していきます。したがって図案やそれを描くこと自体はそんなに凄いことでもないと思っています。ただ画面の中で構成していく作業には自分の思想が混じっていくので、面白いと思います。
今流行しているのは柔らかく絵柄ですが、憂様のはすごく硬質ですね。
柔らかい、硬いといった感じ方はひとそれぞれですが、私の人間性や今までに培われた好みが、どうしても硬いことを美しい、と思うようです。ただ、大衆がいまやわらかい方向に向いているのかどうかも、断定していいのか、ちょっと判断に迷います。
今まで一番選べた構図は『人が画面の真ん中にある』です。この構図が好きだから?
好きです。漫画やアニメほか、宗教画や装飾画、ヨーロッパのアカデミックな絵画が大好きで、いつも眺めているので、侵食されているのでしょう。動きや斬新さという部分では欠けているかもしれませんが、安定感や秩序のある世界はとても美しいと思いますし、好きです。
特殊の構図、試してみない?見下ろすとか、見上げるとか、魚眼レンズとか。
機会があればやってみたいです。今の自分の良いところをもっと伸ばすことができるような表現方法が見つかれば、取り入れていきたいと思います。
背景に対して、自然風景はあんまり登場させないみたい、残念。もし良ければ、自然の風景を挑戦してくれませんか?
そうですね。そういえば、子供の頃は静物画よりも風景画のほうが好きだったことを思い出しました。風景画は素敵な作家様がたくさんいらっしゃるので、刺激をうけることも多いです。近いうちに一度チャレンジしてみたいと思いますので、もしも見かけたときにはよろしくお願い致します。
自然風景だけじゃなく、建物も殆んど居ませんね。憂様の描く建物はきっと図案と同じく華麗でしょう。素敵な描く人物は宮殿にいって、外の風景を見て…この構図すれば、人物+図案+建物+風景…想像だけで堪らないです。
建物は現実の建造物に勝るもの無しだとおもっています。もともと空間を捉える能力が私は人よりも劣っている自覚があるので、もともと素晴らしい建造物をどうやったら絵でよりよく表現できるのか、それはとても難しい課題です。ただ装飾系統は得意なので、レリーフや門などの表現は面白そうです。
最近、色使いは以前より遙にきびきびしたね!
きびきびってかわいいですね。前よりわかりやすさを重視しているから、そう見えるのかもしれません。また現在、テクスチャの量を調整し、より情報を制限する方向をためしています。理想としては、はっきりとした画面と、以前のような重みのある画面の両立を目指したいです。
色使いだけじゃなく、絵柄も以前より…なんて言うか…萌え萌えですし、かわいいですね。具体的に言うと、以前は芸術感が強すぎので距離感を感じられますけど、今は時の好みの絵柄と近くなります。
いままでとは見てもらう対象を意識的に変えたからです。私自身は前の絵柄のほうが好きなのですが、距離を感じる、という方には今回のようなものが適している場合があります。つまり、状況によって使い分けていきたいのです。
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シナスタジア |
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絵にいるのは少年じゃなく少女です。やっぱ萌え感を入りたいためでしょうか?
昔は少年のほうをよりたくさん描いていました。やはり女の子はかわいらしく、男の子はかっこよく、かけたらステキだなと思います。また、かわいらしい女の子はみんなだいすきだとおもいますので、せっかく描くのであればより見た方が入り込みやすいほうが良いとおもいます。アリスっぽい、童話っぽい、など見た方が保管してくれるようになるのが理想です。
目の色は違いますね。
もう10年以上も前になりますが、ホームページを開設して、ネットに絵を載せ始めた頃、よくこの瞳の色が違うオッドアイの表現をしていました。一時期は自分の絵で、シンボルのように扱っていたこともあり、愛着のある表現で、多用しています。
メイキングを作って、読者たちに拝読させますか?
作業途中のキャプチャ画面を保存しておりませんので、難しいかと思います。また、作業工程も今までとほぼ変わらないので、これまで書いて来たCG講座の記事をご覧いただければ、大体お察しいただけるのではないかと思っているのですが、いかがでしょうか。
読者の反応、閲覧数、そして付けたタグを見ると、神作決定ですね。
これは私にとってはとても意外な結果でした。シナスタジアという不思議なテーマのおかげで、みてくださった方の関心を寄せることが出来たのだと思います。テーマの斬新さに依存しないでも、ひとびとの興味を引きつけられるようにがんばっていきたいです。
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知恵 |
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描く仕事中のリラックス法がありますか?
絵を描くのに疲れたら別の絵を描きます。絵から離れることは、あまりありません。作業中は、マイナスの妄想に取りつかれてしまうことがよくあるので、常にラジオなど、誰かの喋る声を聞いていることが多いです。また利き腕がとても痛くなるので、マッサージを定期的にするように心がけています。作業の負担を減らすために、常に部屋を綺麗にしておくことも、心がけています。
スランプの時はどうやって抜け出しますか?
たくさんの良い作品を見て脳に情報をインプットします。描くことはやはり苦しいのですが、それ以上に描くことが好きなので、スランプになるという状況は少ないです。描くことに疲れる時期はあるものですが、インプットとアウトプットは周期的に訪れるものだと思っています。アウトプットに疲れてしまったらインプットに切り替え、収穫の前の種まきのような時期とします。
依頼要求が原則を損害するの場合、対応は如何でしょう?
きちんと話し合うことが大切だと思います。大抵の場合、コミニュケーションにおける齟齬が問題になっていることが多いからです。それでも駄目だった場合は、そっと距離をおくしかありません。お金が絡むとまた大変なことになりますが、お互いに心が傷つく結果だけは避けたいものです。
絵を描く際、特に気をつけていることは?
たくさんありますが、最初に設定したコンセプトや課題が、最後の筆を置く瞬間にきちんと達成されているかどうかが重要だと感じています。
描く原則はなんですか?
難しい質問ですね。原則:多くの場合に共通に適用される基本的なきまり・法則。とすると、描くときの精神的な原則の話は「矜持」や「生きること」である。作品や技術的な原則として掲げているのは「ブローチのように描く」「現実世界の絶望を作品に持ち込まない。かならず美しい画面を描く」です。
スケジュール管理についての見解は?
スケジュール管理をしっかりすること。これ以外にはありません。時間は自分で作るものだからです。自分がどれくらいの早さで描けるのか、ということも十分に把握しておく必要があると思いますが、これはとても難しいですね。
なんの手法でイメージを伝えますか?
モチーフを限定すること。必要なもの以外描かないこと。過剰装飾の必要性を自分の中で明確にすること。メッセージは伝えるということで、自分が伝えたいと思うものをきちんと明確にしておくことが最も大事なのだと思います。
どんなふうに感受性を身に着けますか?
感受性は細胞と同じように年令によって衰えていきます。でもその老化を遅くすることは、たくさんのものや、より若い方たちの考え方などを見聞きすることによって出来ると思っています。若ければ若いほどとても感じ易いので、もっといろいろなことをしておけばよかった、と思っています。
どうやって主題の存在感を保持して、華麗な背景に奪われないですか?
平面構成が昔から得意だったので、視線の流れを意識しながら構成していることが要因となっているのかもしれません。特に描きたい部分をあらかじめ決めておくので、主題と装飾をわけるようにしています。
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いまできることを。 |
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これが応援イラストです。なんか和みますし、癒しますね。でもなぜミクさんですか?
もともとはニコニコ動画のチャリティーサービスに投稿したもので、見る方の年齢の低さや、みているメディアを考えれば、より誘引力のあるのはキャラクターだと判断しました。ただあとあとの権利問題を考えれば、二次創作を避けるべきだったとも思います。
正直、これは憂様の作品なんて、最初は信じられませんです-俺のミクさんがこんなに萌えわけがない!
上記と同じです。見てほしい方がいつもの層とずらそう、と判断したからです。自分が描きたいのはもっと固い、大人の表情や表現かもしれませんが、見ている方が望んでいたり、好きになってくれる絵はまた別だからです。
作るの感想は?
これを描いたときには、地震の不安や哀しみでとても心を痛めていました。そのため、自分がただ落ち着きたい、という思いだけで描いていました。誰かのためになるとか、そういったことはあくまでも後付であると自覚していました。ですが、見てくださった方のなかから「元気になりました」「癒されました」といったコメントを頂くことができて、この絵にもすこしだけ意味が持てたのかなと思っています。
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世間話 |
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いつ頃から描く事を目指し始めますか?
4、5歳の頃には「一生絵を描きたい、けれども絵だけで食べていくには大変だろうから、別の仕事をしながらでも、絵の仕事もしよう」と思っていました。概ね達成できていますが、今後はより描くことに力を入れていきたいと思います。
一番好きなキャラは誰ですか?
広い質問ですね。絵を描くことと密接したキャラクターなどは、とくにこれといってはありません。「女神」というモチーフを描く事が多いくらいでしょうか。既製のキャラクターで好きなものはたくさんあります。
今までに描かれてきた作品の中で、一番気に入っている作品はどれですか?
どれも我が子はかわいいですが、 宝石箱は今の作風の転機になったもので、印象に残っています。学生時代は自分の絵に自信が無く、落ちこぼれでした。そんな時にこの作品は「自分の好きなものをただ描いてみる」とといったテーマで臨みました。それ以降は自分の描きたかった物が明確になったのです。これが転機ですね。
真っ赤なパソコンチェアを二つ連ねています。この左隣に本棚が連なっています。ディスプレイは作業をするための 大きいものと発色を確認するための 小さいものを両方使用しています。現在メインで使用しているディスプレイの発色が明るすぎて、実際に紙に出したものと色が大きく異なるため、より精度の高い小さいディスプレイも使用せざるを得ないといった状況です。出来上がったデータをそちらにもっていって確認します。つまり、もっと高いディスプレイを購入すれば済む話なのです。
作業環境は真っ赤!これが個人の好み?
赤が好きです。そして派手な色は汚れが目立ちにくいです。それ以外に理由はないです。
絵を描いてることに対して、友や親戚の見解は?
概ね良好です。絵を描くことを反対されたことはあまりありませんし、美大への進学を応援してくれたことには感謝しています。ただ、自分の作品を評価された回数は少ないです。家族や親戚はどちらかというと理数系が多く、絵や芸術に興味のある者はとても少ないです。そのため、私はかなり特異な位置にいます。
共感覚について、体の痛みはもちろん、でも心の痛みは共感覚で見えますか?
見えます。ひどい言葉をかけられたり、いかりや哀しみで心が震えることがあると、心臓の部分から全身に赤や青のインクが全身に広がっていくような感じがします。また、嬉しいことがあると、黄色いインクが頭から足に落ちて行くような、体からその粒が蒸発していくような感じがします。
共感覚は周りの物や事を特別の形で感じる、不思議の力なんですね。でも中心の憂様はどうなのか?自身のことを考えて、共感覚は何が教えますか?
共感覚を使って、今回のインタビューはどん形で具現しますか?
それは難しい質問です。言葉の並びをいっているのか、全体から感じる雰囲気を問われているのか。常に極彩色の世界に身を投じているわけではありませんので、強い刺激でない限りはニュートラルにしか感じません。白ですね。ちなみにインタビューという単語自体には藍色と薄い鮭色を連想します。
オリジナルとVOCALOIDばっかり、他のテーマは殆んど居ません。憂様のテーマはこの両者で限られた。どうしてこうなるのか?
じつはこっそり二次創作も描いていますが表に出していません。なぜなら表に出す必要が無いからです。特に自分のホームページにおいては限定を強くしています。二次創作で自己表現をするということに、少しジレンマがあるのだと思います。
以後は他のテーマを描くのか?
誰かから必要とされたり、自分が必要としたときには描きます。
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最後 |
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これからどの技術を挑戦したいか?
まだまだ既存の複製物以下の域を脱していない。技術的にも、自分の拙さを作品数を追うごとに深く自覚していきます。もっと洗練された画面、もっとニーズにあった画面を構成できるように精進したいです。最近はとくに人のために描きたいと思うようになっています。
絵を描く意味、知らせてくれませんか。
生きることに意味が無いように、描くことにも本質的な意味などないのだと思います。ただ、描いていると、生きていることへの絶望を少しだけ忘れることができます。それは次にもっといい絵がかけるのではないか、という希望を常に持ち続けることが出来るのです。希望を持ち続けるということは生きる糧を得ているのと同等のことです。そして絵を描くことにかぎらず、文章を書いたり、歌を歌ったり、音楽を作ったり、踊ったりすることはただそれだけで素晴らしいことだと私は思います。
最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。
作品にはすべてコンセプトとして「ブローチ」という単語を掲げています。私にとって「ブローチ」とは、手のひらに収まるような完璧に近い美しいもの、そこに付随する感情を示唆する単語です。ふっと思い出して見に来ていただけるような作品を、これからも訥々と描いていきたいとおもいますので、どうぞ宜しくお願い致します。
憂様お疲れ様です。ありがとうございました。
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