StrangeChameleon
東方小夜曲

介紹

StrangeChameleonは主に東方で活動する同人サークルです。特徴は面白いネタだったり、高くレベルの作画だったり、立派なページ数だったり。特にページ数、東方同人界に一番かもしれません。それでも作画は影響されない、実に凄いです。
サークルのメンバーは二人:絵描き役の水鏡ひより様、そして原案の氷坂透様。もちろん、StrangeChameleonをインタビュするのは二人と一緒にしなければなりません。だから今回出した質問は二人一緒にで回答します。なお、StrangeChameleonの代表役は氷坂透様ですので、彼はよく先頭で回答して、水鏡ひより様は次の番です。
ま、私の下手な紹介より、インタビューの方は楽しいでしょう。早速読もう!
水鏡ひより インタビュー 氷坂透
2011/3/31

イントロ

サークル名「StrangeChameleon」の由来を教えてください。
ネットゲームのギルド名兼サイト名として、二人が好きな曲名から取りました。サークル活動も、まさかここまで大きく長くなるとは思っていなかったので、深く考えずそのまま名前を流用して今に至ります。
PTプレイと言う点では変わってないしね。一緒にやるしいいんじゃ?位のノリでした。
ネートで公開した小説「東方南瓜祭」、これは水鏡様と氷坂様最初の合作作品ですね。二人の合作経緯を教えてください。
ひよりがハロウィンイラストを描いていたので、後付けで自分がそれにストーリーをつけて小説に起こした、という感じです。
これも、せっかく二人でサイト運営してるんだし、合作とかやるべきなんじゃ? みたいな軽いノリだった気がしますね。この頃は一緒に東方同人をやるとは欠片も思っていなかった訳ですが。
今までのジャンルは主に東方ですね。なぜ東方に選びますか?
私が東方にハマって、東方で同人やりたい、と思ったのがきっかけです。正直自分は話をまとめるのがとても苦手で、「ちょっと氷坂手伝ってよ」って感じで声をかけました。
で、手伝っているうちに長く続いて今に至る、という感じです。以前から東方はプレイしていたんですが、同人を始めてから二次創作にも興味を持つようになり、今では買い漁るくらいどっぷりハマってます。
StrangeChameleonの同人誌、質でも量でも立派ですね。特にあの量、あのページ数、めちゃくちゃ凄いね!
ページ数が多いのは、むしろ作画担当のひよりには申し訳ないと思ってたりします。もっと短いページ数で綺麗にまとめられるスキルがあればいいのですが。特に、シリアスなストーリーだと、いくらでも長く続けられてしまうので、スケジュールと演出のバランス取りには苦労してます。
ありがとうございます!ついつい、あれもこれもやりたい! と思うとあのページ数、発行数に。基本欲張りですよねうちら。そして締め切り前に悲鳴を上げるというパターンが続く訳ですが。大変ですけど楽しいので、問題はないかと(笑)
今までに完成した作品の中で、一番気に入っている作品はどれですか?
一番というのはないです。どの作品も同じくらい、それぞれ気に入っているので甲乙付けがたいというか。
悩みますね-。シリアスだと「幻想に至る病」。ギャグだと1作目の「GoodMorningBadNews」、「ゴー!ゴー!ゴーレム」かなー。三魔女好きなので。

描くこと

マンガを描くときの作業工程など教えてください。
 サークル内会議。二人でアイディアを出す。漫画の方向性から、入れたい要素や面白くなりそうなネタを、出せるだけ出す。二人の意志疎通ができていないと後々大変になるので、イメージの共有はできる限りしておく。次のイベントでどんな本を出したいのか、を中心に考えると、自然とネタは固まることが多い。
 プロット作成。諸々のネタを組み合わせたり、必要なものを加えたりしながら、話を組み立てる。作業は全てノートに手書きで進む。必要となる要素を書き出し、あらすじを箇条書きにまとめる。
 字コンテ作成。パソコンでセリフとあらすじを打ち込む。
 原作ネーム作成。A5ノート4分割で、おおよそのページ配分を確認する。私は絵が描けないので、セリフだけでコマ割りをしてみる。足りないセリフやシーンがある場合が多く、字コンテを修正しながら進める。ひよりが別件の作画中に、ここまで進めておくのが氷坂の目標。終わったら、ひよりへ。
 作画ネーム作成。字コンテと原作ネームを元に、実際の紙面に反映されるネームを作成。漫画的表現に足りない部分は随時追加される。作業はパソコンで、コミックスタジオを使用。最初からデジタルに入るため、漫画作業の場合ほとんど紙は使用しない。ネームと下書きで大量に手直しをするため、デジタルの方が何かと便利。
 ペン入れ。下書き→ペン入れ→ベタ入れ、までを見開き毎に終わらせる。ネームと同じく、全てパソコンでの作業。視線誘導や見開きでの見え方を確認するため、ネームの時点から2ページの見開き単位で進めていく。
 仕上げ。トーンを貼ったり、人物に影を入れたり。簡単なトーンは氷坂も手伝う。
 
 

水鏡ひより

PN「水鏡ひより」の由来を教えてください。
当初は「水鏡月夜」だったんですが、余りにガラじゃなかったのでどうしようか悩んでいた時に電車から「日和~」という看板を見て(笑)漢字だとイマイチグッと来なかったので、ひらがな表記にしてみました。最近、名字部分を変えようかな~とか思ってるんですが、今更変えるのもどうなのか、と悩み中です。
どのきっかけで描く事を目指し始めますか?
絵自体は物心ついたときから描いていたような気がします。漫画は小さい頃セーラームーンにハマって、友達と交換漫画みたいなのを描き始めてからでしょうか。本格的に漫画を上手く描きたい、と思ったのは氷坂と組んでからです。せっかく原作を貰ってるのに、作画が駄目じゃ失礼だな、と思って。
作品は主として漫画です。なんてイラストじゃなく漫画ですか?
漫画が好きだからですかね。イラスト描くのも嫌いじゃないんですが、テーマがないと描くのが難しくて、1枚仕上げるのに時間が凄くかかってしまうから、と言うのもあります。逆にテーマがある分、同人誌の表紙描くのは凄く好きだったりしますが。
作業環境、皆に見せてくれませんか?
今年の始めに、念願の液晶タブレットを買いました。これとボトルガムで修羅場を乗り切ります!
描いていて、楽しいと思うところはどのあたりですか?
シリアスでは、キャラの心情がダイレクトに出るシーンですかね。笑顔とか泣き顔とか表情描くの好きです。ギャグでは、氷坂の原作にない部分をこっそり付け足してる時です(笑)それを見て氷坂がうけてくれればいいなぁ、とか。いたずら心が疼きますね。
大変なところがありますか?
作画作業よりも、肩こりとか頭痛とか右手が腱鞘炎になったりとか、体方面が色々大変になります。特に肩こりは本当酷い。
これからどの技法を挑戦したいですか?
氷坂から来る指定で多い割に、アクションシーンが結構苦手なので、その辺を迫力たっぷりに描けるよう頑張りたいと思います。後はかっこいい演出が描けるようになりたいですね。
絵を描く際、特に気をつけていることを教えてください。
分かり辛いコマになってないかどうか。今どのキャラが何をして何を話しているのか、とか、吹き出しの読ませ方とか。引きのコマがちゃんと入ってるか(顔だけの漫画になってないか)。テンポ良く気持ちよく読めるようコマが割れてるか、とかかな。
描く原則はなんですか?
描いてて自分も楽しむ事。それと、顔は時間かけて丁寧に書きます。読むときに、一番に見るのはやっぱり顔だと思うんで。生き生きとした表情が描けた時は、思わずガッツポーズをとりたくなります(笑)

氷坂透

PN「氷坂透」の由来を教えてください。
本名を少しいじっただけです。あまり深い意味なく考えた名前ですが、今では割と気に入っています。
やる気が出る時,創作の効率は高くなります。どうやって書き出すタイミングを掴みますか?
自分はいつも、面白い話が創れないか、と色んなアイディアを思い浮かべたり、頭の中でこねくり回したりしています。そうしているうちに、「これは面白いかも」と思えるものが生まれる瞬間があります。そこまで来ると、頭の中で話が次々と組み上がっていき、書き残さずにはいられなくなるので、それが書き始めるタイミングになりますね。あと、アイディアをノートに書きながら、別の話が生まれることもよくあるので、暇を見つけては言葉をノートに書くことを繰り返しています。
もし絵は作品の体なら、ネタは作品の魂ですね。どの方法でいいネタが出しますか?
とにかく考え続けることです。一つのアイディアが浮かんだら、そこでは立ち止まらず、派生するアイディアを考え続けます。その後、それらを否定できる別角度からの視点を考えます。更にそれを否定する、と繰り返していきます。場所時間を問わず、ひたすら考えます。音楽を聴いている時なら聴いている時の、散歩中なら散歩している時の、状況が変われば別のアイディアが浮かびますので、常に発想と反証を繰り返していきます。
漫画と小説では、表現の仕方には違い所はどのあたりですか?
漫画は、文字もまた視覚表現の一つになるので、1ページ毎1コマ毎の言葉の量、読み進めるリズムに気を配ります。小説は文字だけで全てを伝える媒体なので、読みやすい言葉運びを意識するようにしています。言葉を扱う点は同じですが、同じ言葉であってもそこに発生する速さは違うので、作中の時間経過への意識は明確に異なります。
普段書いている中で最も苦労されているのはどこですか?
セリフの量とリズムですね。二人で作業している分、ひよりが作業しやすいように、というのは一番気を遣っています。もっとも、上手くいってるかどうかは分かりませんが。元々、小説を書いていたこともあって、ついセリフが長くなってしまうことが多いので、プロットを書き終えた後の修正には時間をかけてますね。
小説に関して、エンターテインメント性と芸術性、二つ要素のバランスについては、どう考えていますか?
自分の創るものに芸術性があると考えたことがないので、エンターテイメント性というか、読んでくれた方に面白く思ってもらうことしか考えてないです。
これからの野望を教えてください。
今、構想ができあがっている作品を、より面白くすることでしょうか。最近は、感想をもらえる機会も増えてきたので、面白かったと言ってもらえるように、頑張っていきたいと思います。
画像は面白いです!「デスペナ上等」だっけ?
ネットゲームの使用キャラをモチーフにひよりが描いてくれたイラストです。自分がモチーフに、という経験は初めてだったので、今でも気に入って使ってます。
飲むことが大好きですね。
酒そのものというよりは、飲み会で人と話をするのが好きなので、飲み会の誘いがあると、余程忙しくない限りはほいほい付いて行っちゃいますね。同じ創作をする人と話をすると、思いもしなかった視点からの話が聞けて楽しいので。
一番飲みたいお酒は?
日本酒全般。味の分からぬ男なので、何を飲んでも美味しい人ですが。

知恵

どうやって時間を作って、サークルの事にしますか?
移動時間や手の空いた時に話を考えてメモし、それを自宅でまとめるようにしています。自分は頭を使う作業が主なので、どんな時でも面白いアイディアが湧かないかばかり考えています。
私は今特に定時の仕事をしていないので、自分のペースでのんびりやっている感じですね。勤務してた頃は、忙しくて同人活動自体全く出来てませんでした。そういう意味で仕事しながら活動してる人は本当に凄いと思います。
どの手法で作品の「イメージ」、及び「通じて伝えたいメッセージ」を読者に伝えますか?
漫画に関しては、自分が持つイメージや伝えたいことは、ひよりが全て絵で形にしてくれていると思っているので、あまり難しく考えたことはないですね。小説に関しては、あくまで文章が全てだと思っているので、地の文の表現方法やテンポを変えて、伝わるイメージを意識しています。挿絵やカバーイラストには、極力頼りたくないと思っています。
主に手法は漫画になるわけですけど、やはり「わかりやすく」を心がけています。氷坂が何を伝えたいのか、それを視覚化するのが私の役目だと思っているので。この台詞を喋っているのは誰か、とか、このコマでは一体何をやっているのか、とか。
仕事中のリラックス法がありますか?
音楽を聴いたり、散歩したり。主に気分転換目的で、結局そこからアイディアが湧いたりもするので、スランプ脱出の方法に通じるところがありますが。
基本的に目と肩がだいぶ痛くなるので、軽い運動をしたり横になったりしてます。
スランプの時はどうやって抜け出しますか?
上で書いたように、音楽を聴いたり、散歩したりの他、新しいゲームや漫画に手をつけてみたりして、何も考えずに遊んだりもします。下手に遊びに熱中してしまうと作業が大幅に遅れてしまうので、これは最終手段ですが。
ひたすら描きます。描いてるうちに、なんか自己完結するのかスッキリしてくるので(笑)
どんなふうに芸術の感受性を身に着けますか?
芸術なのかどうかは分かりませんが、感受性に関しては、とにかく自分以外の作品を観まくることですかね。観た上で、その作品の良い点悪い点を考えたりします。あと、自分の作業に応用できそうな良い点を探してみたり。完成のイメージを持つことも大切ですし、やってはいけない失敗を意識するのも重要だと思っています。
氷坂も書いてますがやはり他の作品を観ることですかね。漫画なりアニメなり映画なり。後は音楽を色々聞きます。
「作品を作る意味」を知らせてくれませんか。
すげぇ単純に言えば、自分が考える面白いと思う話が形になるのが楽しいから、ですかね。創作することで 社会に何かを訴えたい、というようなことはあまりなく、あくまで自分の欲望のため、だと思っています。その上で、読み手が何かを感じてくれたなら、もう最高だなですね。
描きたいものを表現できるからですね。そしてそれを読んで楽しんでくれる人が一人でもいるならそれが嬉しい。自分の創った作品で人の心を動かせる、それって最高じゃないですか。

世間話

一番好きなキャラは誰ですか?
自分は、おくうですかね。あと魔理沙や天子も好きです。基本的に、作品に登場したキャラの好感度が上がって好きになります。そういう意味では、2010年はフランとさとりが急上昇中しましたね。
私はアリスですねー。東方にハマったのが「人形裁判 ~ 人の形弄びし少女」を聞いてだったので。後、美鈴と永琳も好きです。が、ここ数年のサークル活動で、だいぶおくうと天子の株が上がってきてますね。氷坂の作戦にハマってる気がしなくもない。
どの作品が一番多い影響を与えましたか?
司馬遼太郎先生の『燃えよ剣』、ですね。中学生の頃、歴史小説を読み漁っていたのが、一番現在に影響を与えていると思います。
絵に関しては色々な所から影響を受けているので、これ、と言うのはないのですが、原点を強いてあげるなら「あらいずみるい」先生かな。スレイヤーズの挿絵を描いていた方です。漫画は藤田和日郎先生です。あの人の描く表情が素敵。

最後

以後は他種類の漫画を作るのか?4コマとか、長編とか。
同人だと、どうしても短編中心になってしまうので、短編集的な本を作る可能性はあるかな。その表現方法として、通常のストーリーものも、4コマや1ページ漫画もありえる。長編というか、明確に前後編と分かれたりシリーズを銘打つ作品は、読み手が付いて来てくれるか不安なので、多分やらないと思います。
4コマや1ページ漫画なんかは初期の頃に良くやってましたね。最近はストーリー漫画が多いけど。描きたい、と思った内容に合う形で表現していきたいと思います。
これから商業誌を作って、商業漫画家を目指すのか?
商業誌に掲載されている漫画家というのは、自分が憧れていた夢のような職業なので、もし可能なら目指してみたい気持ちはあります。でも、東方で創りたい話はまだまだたくさんあるので、果たして今後どうなるかは不明ですねー。機会があれば、一度挑戦してみたいところではありますが。
ありがとうございます。雑誌に載るというのは一つの夢ではあります。漫画読んで育ってきたと言うのもあって、憧れは強いですね。とりあえず今はまだまだ東方描いていきたいと思ってます。氷坂も書いてますが、描きたい話はたくさんあるので。
最後に、読者の皆さんに何か言ってください。
まだまだ若輩者の自分ですが、より面白いものを創るべく頑張っていきますので、手に取って読んでもらえると嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。
少しでも自分たちの作品を読んで、楽しんで貰えるよう今後も頑張って行きたいと思います。どうぞヨロシクお願いします。
お二人様お疲れ様です。ありがとうございました。
 
水鏡ひより 氷坂透